GTC Japan 2017 2日目(2017.12.13)
GTC Japan 2017の二日目のレポートです。
※一日目はこちら。
http://admo.hatenablog.com/entry/2017/12/12/225031
ちょっと寝坊気味でランチセッションから参加。基調講演は見たいという気持ちもあったのだが、予想通り通路含め激込みだったようだ。
コマツとの協業の発表などがあったが、Twitter を見る限り、おそらくパワーに満ち満ちた講演だったようで、ネガティブな意見を吹き飛ばす気合い入れて投資をしていくぞ!と見るだけで価値のあるものだったと後から思った。波が作られるとはこういうことか。
VR で実現する人類の新たな挑戦 「火星都市化計画」 Project MARS
株式会社日本HP パーソナルシステムズ事業本部 ワークステーション市場開発 小泉 薫
ディープラーニングの本番運用への課題 を解決する「ABEJA Platform」 ABEJA Platform
株式会社ABEJA 代表取締役社長 CEO 兼 CTO 岡田 陽介
ABEJA Platformは知らなかったが、人工知能・機械学習を継続的に本番環境で運用していく際必要な種々のこと(アノテーション、Paas、監視など)を ABEJA Platformとして一手に引き受けており、導入実績としても多くあり、いざ本番環境で運用する際に役立つ部分を本セッションで発表されていた。
アノテーションという工程について、何万という単位の単純なデータ処理を、単価が非常に高いデータサイエンティストが行っているという話がよくあるというのは、どこかで聞いたことがある話で、それをプラットフォームが担保するためにオペレーションとして仕組化している話はなるほどなぁと。
後述するAWSのセッションでも人工知能・機械学習のためのプラットフォームの話がでていたが、このような囲い込みは当然今後AWSが対応していくであろうしまた得意とするところでもあると思われるので、パートナーとの連携の話を聞いていて、どのように差別化できていて、していくのかは注目すべき点と思った。
AI タクシー: リアルタイム人口統計データを 用いた深層学習によるタクシー需要予測
株式会社NTTドコモ R&Dイノベーション本部 サービスイノベーション部 第2サービス開発担当 石黒 慎
実際にこの予測モデルを使って、売上の改善をしたそう。大変すばらしいと思いつつ、まさしくよく言われる人がAIのインタフェースとなる事例だなと。
AI クラウドのソフトウェア エコシステム構築に向けた産総研の取り組み
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 人工知能研究センター 主任研究員 佐藤 仁
AI Made Simple
Senior AI Solutions Architect, Amazon Web Services Inc. Sunil Mallya
AWSのセッションも聞いておきたいと思い、参加。
Gluonは今年10月に公開されたMicrosoftとAWSによる新しいディープラーニング用ライブラリ・インタフェースであり、従来AWSが推してきたmxnetよりも使いやすさ・実装のしやすが説明されていたと思うが、質疑応答の際に今後mxnetがどうなるかという質問に対して明確な答えが見えなかったので、今後すみ分けがどうなっていくか不明な点がありそう。
DeepLensも最近の発表でとても話題になっていたもので、確かデモもやっていたが、今はまだLimited Previewというステータス。
今後一般にも公開された際は使ってみたい。しかし、(DeepLensの話だけではないが)エッジコンピューティングの話をつい数年前にはじめて聞いたときはかつてのグリッドコンピューティングのように遠い話のように受けていたが、近年のAIへの莫大な投資の効果もあって、割とすぐそのような未来が来るのかもしれない。DeepLensについては、コストや使い勝手が気になるところ。
機械学習による視覚情報理解
東京大学 情報理工学系研究科 教授 原田 達也
二日目のセッションで楽しみにしていたものの一つで、やはり大学の先生からの発表は他の発表とは違い、最先端の論文の参照や事例が豊富に紹介されていて、とても興味深く聞かせていただいた。
Luminous Engine の進化
株式会社スクウェア・エニックス 第2ビジネスディビジョン リードプログラマー 荒牧 岳志
NVIDIA エンジニア TBD
やはりゲーム会社のセッションも聞いておきたく、スクウェア・エニックス社内製エンジンについての発表セッション(資料にCONFIDENTIALと書いてあるが、今回のものはよいとのこと)。
ディープラーニングを 日本の産業競争力につなげるために
東京大学 特任准教授 日本ディープラーニング協会理事長 松尾 豊
こちらも東大の先生のセッション。松尾先生が注目されている深層強化学習のブレイクスルーとなる可能性のある論文からの情報といかにこれから産業化していくか、日本から見た人工知能・機械学習分野における応用可能性のある事業などとても興味深くおもしろく、会場満員で注目度が非常に高かったよう。
ディープラーニング以前以後は眼の発見以前以後と同様と。
最後に人材育成のためのプログラムのご紹介。
- DL4US
- Deep Learning(日本語翻訳版)
来年2月頃出版予定? - 日本ディープラーニング協会による資格試験
G検定とE検定。
AI と GPU コンピューティングが実現する 高度な自動運転
エヌビディア合同会社 技術顧問、GPU エバンジェリスト 馬路 徹
やはり自動車(自動運転)のセッションも聞いておきたく受講。専門の話が多かったが、とても面白く興味深く聞かせていただき、勉強になりました。
前述のサーバ・クラウド側のサービスと同じで(自動運転)車の製造工程もある程度の標準化を前提にNVIDIAのようなGPUを提供する半導体メーカーが深くかかわっており、実際にこのセッションを受けてみてエッジコンピューティングの主体としてまずは車になるんであろうということと、過去の蓄積がありつつも今やディープラーニング専用のGPUを作り組み込んでいるという内容を聴いていて、昨日行われたChainerなどフレームワーク系のセッションとあわせて考えると、この分野で単純なパフォーマンスでの競争は(アルゴリズム等の研究分野はともかく)勝負がよくて中盤戦もしくは大分終盤戦になっているかもしれないというふうに思ってしまった。
こちらは、実際にその車が展示されていたところの写真。
と、いう感じで、NVIDIAの自動運転に関するセッションを最後にお台場を後にした。
セッションと展示物含めて今は技術の進展と実用、toB向けの事業への展開が進んでいることを実感できた二日間だった。歴史が繰り返す?ことを考えるとこれからもっとハードウェア・ソフトウェア、ネットワーク、サービス面での進展があった際に、toC向けのサービスがもっとでてくる場面を想定していろいろ考えるのは楽しいなと思ったのとこの大きな波にエンジニアとして何らかの形で積極的に関わっていきたいなと思いました。